2023.09.13【インタビュー】アレルギーのある人においしさの選択肢を!
小麦アレルギーがある子にも食べて欲しかった
Grandexで取り扱う新商品の米粉のクッキー、ラスクを販売している岐阜県関市の株式会社PLUSを訪れた。
小麦アレルギーのある方でも食べられる米粉のパスタ、クッキー、ラスクなどを自社で栽培した米を使用して加工・製品化、流通・販売までを一貫し自社で行う、6次化産業を行っている会社だ。
創業は13年前、代表の三輪さんは自身のお子さんに小麦アレルギーがあり、いつも給食にお米を持参していたことが気がかりだった。小麦アレルギーだと食べることができないパスタやほかの食材も、もっといろいろな物を食べてほしかったとのこと。
前例が無い製品作り、まずは米粉の乾麺のパスタ
米粉のホット―ケーキミックスからスタートし、そして自分自身も大好きだという乾麺のパスタも米粉で作ることに挑戦した。
当時としては米粉の乾麺のパスタはまだ世にほぼ出回っておらず、手探りでの開発となった。
寝る間も惜しんで何度も試作を重ねたが、何度チャレンジしても乾麺が乾燥する過程でちぎれて落ちてしまう。乾燥する過程で切れないようになるまで独自の調整を重ね続け、切れずに完成するまでに2年近くかかった。あまりにも多忙で、その頃の記憶はほとんど無いという。米粉で作ったグルテンフリーのパスタの開発が成功し、様々なグルテンフリー製品の開発がその後も続いた。
「アレルギーの人ももっと色々な種類の物を食べたいのでは?」
今回、Grandexで扱う米粉のクッキーを開発した理由を聞いてみたが、答えはやはり
「アレルギーの人もいろいろな種類の物を食べたいだろうと思ったから」とのことだった。
米粉のクッキーはアレルギーのある方が手軽に摂れるおやつとしてはもちろん、5年保存が可能なので災害時の非常食にもなる。アレルギーの方がいる家庭でも、みんなが安心して食べられる食品として備蓄保存することが可能だ。また、美味しくて味にバリエーションがあり、手軽に食べやすい形状なので災害時で食欲が無い時でも食事を美味しく摂ることができる。
クッキーには小麦粉不使用だけではなく「タイガーナッツ」というアンチエイジングやダイエットにも良いスーパーフードも配合しており、ダイエットや健康志向の方でも食べやすく開発されている。
災害時においても、文字通り “みんなが安心して美味しく食べられる” 貴重な備蓄食となる可能性がある。
「人生で一番楽しいことは食事。アレルギーの方にも楽しんでほしい」
記事を書いている私自身も卵アレルギーがあるのでとてもわかるが、みんなが食べられる食品を食べられない食べ物アレルギーというのは本当にやっかいだ。
普段みんなが食べる物がアレルギー源となれば、店選びや食事作りではとても気を遣うし、結局一人だけ同じものを食べられないというのはしょっちゅうで困ることがとても多い。
みんなが食べる物を食べられないということは、災害時の避難所での生活で食事が摂れない可能性もあるだろうと容易に想像もできる。アレルギーがある人でも食べられる卵が開発されたと最近ニュースで流れた時は、こんな少数派な自分たちのためにそんな研究や開発をしてくれていた人が世の中にいたことにとても驚き、本当に嬉しかった。
三輪さんはインタビュー終盤でこう言っていた。
「人生で一番楽しいことは食事。アレルギーのある方にも食事を楽しんでほしい」
最近は、「世界で食べ物に困ってる人にも食べさせたい」と思い、乾麺なら流通させられるだろうと今はグルテンフリーのパスタの世界進出も進めているという。
千葉県、長野県、栃木県などの幼稚園、学校給食にもパスタをおろしている。学校給食は利益が多くはないそうだが、社会貢献活動だから。と続けているそうだ。
6次産業ならではの地域への関わり方として、「輸入に頼らざるをえない時代が来ると思うから6次化で商品を作り、世の中に出す喜びを若い方にも知ってほしい」と、行政との関わりもしっかりと持ち続け活動している。
代表の三輪さんは、世の中の人にどれだけ役に立てられるのかを常に考え、人の喜んでくれることをしたいという想いがとても強い人だった。
三輪さんの活動は、たくさんの人が今よりもっと食事を楽しむことができる素晴らしいものであると改めて思った。